第14回A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクール の観戦
ソムリエコンクールの世界大会。
3年に1度行われるこのイベント、今回のホスト国は日本。
決勝戦の会場は東京国際フォーラム。
そんな近場でやるならば行くしかない!と、仕事休んでまで観戦してきた。
今年(2013年)3月29日の話です。
決勝は、世界各地での予選を勝ち抜いた本戦出場者から、
準々決勝、準決勝を勝ち抜いて残ったファイナリスト3名の争い。
さすがにここまで来ると、皆さんカッコイイ。
ということで、競技中のシーンから、
いちばんソムリエらしいテイスティング課題に臨む姿。
カメラがしょぼくて望遠が効かなかったので、競技ステージ(競技会場として仕立てられた
模擬レストラン)と上に据えられたモニタに映された映像を一緒に写してます。
優勝!Paolo Basso (パオロ・バッソ) 氏(スイス)
前回大会のファイナリストでもあり、次こそはこの人だろうと思われてた選手。
競技としてのパフォーマンスのすごさ、オーラは観客席から見ていても圧巻だった。
2位 Véronique Rivest (ヴェロニク・リヴェスト) 氏(カナダ!)
初の女性ファイナリストだとか。かくもソムリエとは男性文化らしい。
優勝のパオロが勝者のオーラならば彼女からはチャーミングな明るさが観客席まで伝わってきた。
大会前は休職していたそうだが、カナダ・ケベックのレストランでサービスしているらしい。
ケベックでこんなサービスしてくれるレストランがあるなら、ぜひ行ってみたい。
野生のアザラシ(たとえばこの子)がいるのもケベック州。イメージのギャップが・・・・。
3位 Aristide Spies (アリスティード・スピーズ) 氏 (ベルギー)
前評判の有力者が脱落していく中、ファイナリストに残った若手としてサプライズだったらしい。
風貌からして、さわやか好青年である。競技中も終始そういう雰囲気。
ソムリエの重鎮たちに不足しがちな「さわやかさ」をステージ上で表現しちゃったすごいヤツ、
そんな感じだった。次回が楽しみ。
優勝発表。パオロ氏と娘さん。
競技中のワンシーン。モニターに映る2人に注目。
左は競技中の今回優勝者パオロ氏。
右で冊子を持っているのは競技課題を読み上げるジェラール・バッセ氏。
この2人は共に、前回大会のファイナリスト。
前回の優勝者のジェラール・バッセ氏が、今回は審査官なのだ。
優勝か、2位以下か。
前回大会以降、パオロ氏の3年間はどんなものだったのだろうかと考えてしまうシーンだった。
* * *
コンクールは、その名前の通り、基本的にはシビアな採点競技。
競技開始時に初めて知らされる問題に、選手達が答えていくという形式なので、
選手達がどのようにそれを「攻略」するのかが見ていておもしろいところ。
たとえば、シャンパーニュをサービスする競技でのパオロ氏。
制限時間が極端に短く設定されていることを捉えて、ソムリエ定型のお作法を崩しても、
時間内にサービス(客のグラスに注ぎ提供する)を終わらせていた。
ソムリエナイフを使わずにキャップシールを手でむき、
品質確認のためのテイスティングを省略してすぐに客のグラスに注ぐ。
制限時間内に収めることの加点が他よりも重要だと判断したのだろう。
時間内に終わったのは3人の中で彼だけだった。
優勝は他を圧倒してパオロ氏だったように見えたけれど、
3人とも、さすが世界で戦っていると感じるすごさがあった。
競技中から優勝をたたえる拍手の瞬間まで、とてもいい時間だった。
* * *
ここからはちょっと余談。
これはテイスティング課題で出されたお酒の一覧。
注目はワイン以外の酒(スピリッツ)のリストの一番上。LA TOMATO japonというやつ。
日本のメーカーが出している、国産トマトを使ったリキュールだそうだ。
日本開催だから清酒が出ると思ってヤマをはってきた選手が多かったようだけれど、
出題はなぜかこれ。あてられるわけない。トラップ問題という扱いなんだろうな。
そのLA TOMATOというリキュールを出しているのは、実はある有名なお酒も売っている会社。
せっかくの日本開催なんだから、個人的にはぜひそっちを出してほしかった。
「電気ブラン」ってやつをね。